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2017.09.01

< WAZA - Craftsman work 5th > Charm of a rakugo ②

  • Category culture

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< 技 - WAZAシリーズ 第5回 > 第二話

 

落語の魅力 ②

 

  先月より始まりました落語の見方、楽しみ方をご紹介しておりますこのコーナー。第二回の今回は寄席(落語会)のより詳しいご案内をしてみたいと思います。

 

落語(中級編)

 

 まずは落語のBGMを司る太鼓と三味線について、開場と同時に「ドンドン」と叩かれるのが「一番太鼓」。これは開場を知らせると共にお客様が大勢ご来場いただけるように縁起を担いで「ドンドンドンと来い」と叩きます。その後しばらくは静かになりますが、開演五分前になると「二番太鼓」が入ります。この太鼓は二人で掛け合いで叩くので息の合ったところが心地よいのですが、一番・二番共に前座(まだ修業中の若手)さんの仕事なので、たまに成り立ての前座さんが叩くと妙な調子で聞こえてくる場合があるのもご愛敬といった所でしょうか。

 

 さて、開演となりますと、前座さん(前座は一律「前座の上がり」で登座)以外の出演者には「出ばやし」というそれぞれの個性に合わせた出ばやしが決まっております。大抵は下座のお師匠さんが長唄や端唄、小唄のさわり(良い部分)を勧めてくれるのですが、中には「走れコータロー」とか「サクラ大戦のテーマ」というような妙な曲を三味線でアレンジしてもらって使っている落語家さんもいるようですので、ご興味があれば注目してみてください。

 

 

 次によくご質問戴くのが「なぜ、落語は右・左を向いて喋るのか?」という事なのですが、もちろん人物を分けるための手法(上下<かみしも>という)なのですが、これにもちゃんと決まりがあります。

 

 座って演じてはおりますが、落語は舞台の登場人物を演じている形をとっているので、お芝居の場面を想像して戴くと分かり易いのです。登場人物は大抵下手(舞台向かって左)からやってくるので正面(お客様に向かって)やや左を向いて上手の人に話し、上手にいる人は下手の人に向かってやや右を向いて話すという事になるのです。ほかにも二階と一階を分ける上と下を向く事や大勢での話す場合等々も有り、いずれもお客様の想像し易い工夫と知恵が溢れているという訳です。

 

 

 

 そのほかにも、道具として「てぬぐい」と「扇子」を色々な物に見立てて使います。

てぬぐいは財布、たばこ入れ、小皿や焼き芋などになりますし、扇子はキセル、刀、おぼんや大杯になるといった具合です。上下やてぬぐい、扇子など聞き手のお客様の想像力が豊かなほど楽しめる芸能である事は間違いないといったところでしょうか。

 

 また大勢が順番に登場するので同じネタや同じ系統のネタがかぶらないように楽屋にはネタ帳という帳面があります。こちらを書くのも前座さんの仕事の一つで、楽屋の中でも最古参の前座さん(タテ前座という)が書く決まりとなっております。

 

 また、このタテ前座さんは落語会の進行責任者でもあり、番組が伸びていると出演者に持ち時間を短めにするように指示をしたり、次の出演者が遅れている時には間に合うよう延ばしてもらうよう頼んだりする、ディレクターのような役目も果たします。

 

 ネタ帳の話しが出た所で落語のネタにみる季節感について言いますと、春にはなんと言っても花見、夏にはお化けや花火、秋は秋刀魚等の庶民グルメ、冬には暮れの風景や正月のにぎわい等々、四季の移ろいをその時期のネタによって感じる事が出来るようになっているところも見所の一つとなります。

 

 

 ここで、前回のご紹介の中で「落語会に行きたいとは思うけど、どこでやっているか?今いちわからない」という方にお答えするべく、唯一の落語のご案内本となっております「東京かわら版」のご紹介をさせて戴きます。都内近郊の様々な落語会を概ね網羅してあり、日にち別に、場所、開演時間、出演者など、細かく載っている業界紙となっておりますので参考になさってはいかがでしょうか?

 

 

 さあ、ここまでを踏まえた上で、落語会へご友人とお誘い合わせの上お出かけください。あなたの思わぬ蘊蓄の広さにお友達もビックリしてくれることでしょう。

 

 (文 三遊亭小円楽)

 

 

 

噺家

Sanyutei Koenraku

昭和35年6月12日生まれ。昭和55年12月会社員を経て、五代目三遊亭円楽に入門、「三遊亭かつお」を名乗る。昭和58年10月1日「かつお」のまま二ッ目昇進。昭和63年3月1日三遊亭小円楽に改名し、真打昇進。平成3年7月には国立演芸場若手花形演芸会「銀賞」を受賞している。
趣味の映画鑑賞では、平成27年より日本ファッション協会のシネマ夢倶楽部推薦委員に就任、年間200本ペースで映画の試写に参加しており、日本で一番試写室にいる落語家と自負している。テニスでは落語テニス倶楽部総監督、その他シナリオライティングなども行っている。
特技は、長唄、端唄、サーカスや法事などの変わり種司会。
主な出演番組
日本テレビ「笑点」 アシスタント 昭和57~58年
江東ケーブルテレビ「見たい知りたい江東区」 平成4~7年
CM出演
千代田生命「スーパーグランプリ」
高橋酒造「白岳・電車編」2005年
出ばやし
「外記猿」「奴の行列」

三遊亭小円楽の館
http://www4.point.ne.jp/~koenraku/
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