スタイルアリーナは一般財団法人日本ファッション協会が運営しています。

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2018.03.28

コラムVol.87『ベストオブ愛されシルエット』

  • Category FASHION

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「サイズ感への認識の変化」

 

 いつからだろうか、最近街で見かける女性は皆、縦に長いシルエットやゆったりとしたボリューム感のある服を纏っている。ジャストサイズの服は影を潜め、“服のサイズは着る人の自由意志で選ぶ”という捉え方が定着したように感じる。ここ2~3年の間にファッションはより性別を超越し、女性もメンズライクなビッグサイズの服を纏うようになった。そしてジェンダーレスなシルエットに何の違和感も感じなくなり、「ビッグシルエット」はファッションの第一線へと踊り出たのだ。

 

 

 

「ビッグシルエットのルーツ」

 

 ビッグシルエットは、元々90年代にアメリカ西海岸で愛されていたスタイル。HIPHOPダンサーやラッパーを中心に広がったが、彼らはストリートでしか遊ぶことのできなかった低所得者だった。そのため子供は、小さいサイズの服を買うことが出来ずオーバーサイズな大人用の服を着用していたのだ。その風潮が今の「ビッグシルエット」に生きている。当時の彼らからしたら、自分たちのスタイルが時代や国を超え、男女問わずブームを巻き起こすことになるなんて思ってもみないことだろう。

 

 

 

「オーバーサイズとの違い」

 

  ちなみに「ビッグシルエット」と「オーバーサイズ」の意味合いに決定的な違いがあることを、ご存知だろうか。ビッグシルエットはアイテムそのものが大きくデザインされた服のことで、大きく見えるよう肩幅・身幅・袖丈などをわざと広げて作られている。対してオーバーサイズは、自分の体型に適したサイズよりも1~2サイズアップして着用することを意味する。2017A/Wのストリートで多く見られたのは前者のビッグシルエットだった。しかしこのシルエットがよく見られるのは、今に限った話ではない。2016-17A/Wの「ラフ・シモンズ」や「ヴェトモン」が火付け役となり、若者から絶大な人気を集め、勢いが加速していったのだ。

 

 

 

「ビッグシルエットの解決力」

 

 90年代のビッグシルエットは、上下ダボダボの清潔感に欠けたスタイルが主流だった。だが、現在はシルエットを変え、様々なブランドが取り入れるようになったことも相まって、より洗練されている。果たしてビッグシルエットブームは、今春も加速するのだろうか。まずこのシルエットが長期に渡って流行している理由として、体型に自信のない人でも気にせずオシャレを楽しめるという点が挙げられる。ビッグサイズコートはもちろん、ワイドパンツ、ボリューム袖など、大きめのシルエットなら、ありとあらゆる身体のコンプレックスのカバーが可能になる。春になると装いも軽くなり、肌の露出も増えると思うが、ビッグシルエットが全て解決してくれるはずだ。

 

 

 

 ファッションにおいて流行とは繰り返すものであり、同時にすぐ勢いを失うものでもある。そんな中ビッグシルエットは、今後ますます勢いが増し、少しずつ新しい要素を取り入れながら愛され続けていくだろう。

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