スタイルアリーナは一般財団法人日本ファッション協会が運営しています。

2017.05.23

コラムVol.53『リバイバルした、懐かしきアイテム』

  • Category FASHION

 

トレンドアイテムとしての「ベルト」

 

 トレンドアイテムとして、ベルトがこんなにもクローズアップされるのはいつ振りだろうか。それ程今春はベルトが注目されている。中でも今回取り上げるのは「ロングベルト」。昨年秋頃から街中で少しずつ目にしていたが、17S/Sのコレクションで多用されたこともあり、一気にトレンドアイテムとなった。メンズのいわゆるストリート系と言われるスタイルにはもちろんだが、最近は男女問わず浸透してきている感があり、モードやヴィンテージのようなスタイルにも素材や色を変えて幅広く取り入れられている。

 

                 

 

ちょっとダサいがカッコいい

 

 ロングベルトが流行った背景としては90年代テイストを取り入れたストリートスタイルの流行がある。ここ数年の「ちょっとダサいがカッコイイ」という価値観も後押ししていると言えるだろう。ストリートを見ていると、数年前までメンズではダサいとされていた“太めのパンツにトップスをインする”スタイルが今や当たり前のように浸透している。また、ロングベルトの代表格である「ガチャベルト」も90年代のリバイバルアイテムで、原宿を中心に再び人気を集めている。これも数年前であったらダサいと言われていたアイテムだ。他にも90年代テイストのアイテムはバケットハットやMA-1、スポーツブランドのジャージなどにも広がりを見せ、これらはストリートの定番アイテムとして定着しつつある。やや懐かしさを感じるようなアイテムを大胆に着こなすのが、現在のストリートの傾向のようだ。90年代の自由で何でもアリなアンダーグラウンドカルチャーは今の若い層に新鮮に映っているのだろう。

 

                 

 

今ロングベルトが注目を浴びるワケ

 

 ただ、ここで抑えておきたいのは、なぜ今季はここまでロングベルトが注目を集めているのかということ。まずはベルトのカラバリの豊富さと、コーディネートへの取り入れやすさ。それでいて一気にオシャレ上級者のような“こなれ感”がでるということだ。何より、引き続き着用率の高いワイドパンツの存在が大きい。ワイドパンツにロングベルトを垂らすと、よりワイドな印象を与える事ができる。最近「エクストリームシルエット」がトレンドのワードとして出てきていることもあり、ワイドシルエットに拍車がかかっている。また、ベルトを余らせて垂らすことで華奢に見せたり、ウェストを高い位置でマークする事によって足を長く見せたりなど、スタイルアップ効果もあるようだ。ベルトだけでこんなにも印象を変えられてしまうのだからファッションにおいて小物使いというのは非常に奥が深い。

 

                 

 

広がるジェンダーレスなトレンド

 

 最後に一つ。今回のロングベルトのようにメンズとレディースで共通トレンドが広がることは、数年前まで少なかったということを書いておきたい。それはトレンドを作り出すコレクションが、メンズとレディースではそもそものクリエイションの出発点から違ったからである。ここ数年は男性ファッションを取り入れた女性のジェンダーレススタイルはもちろんだが、男性が女性ファッションを取り入れている。例を挙げると、先ほども取り上げた17年春夏メンズトレンドの「エクストリームシルエット」。これは16~17年秋冬レディースでトレンドだったが、そのままメンズにも引き継がれた格好だ。共通トレンドが広がっている背景には、ジェンダーレス化という時代の変化が確実にある。男性も女性も同じものを着る風潮が、共通のトレンドを押し出していると言えるだろう。ストリートを見ていても、今季の「ロングベルト」や「ワイドパンツ」のように流行をお互いに取り入れていくような傾向が見られる。そしてジェンダーに関係なく、好きなものを着ることが「個性」として受け入れられるようにもなってきた。これから、男性像、女性像はファッションにおいてどう変化していくのだろうか。そこにも注目していきたいものである。

コンテンツをロード中