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2019.10.23

玉川高島屋S・C本館ファサード

  • Category CULTURE

 

玉川高島屋S・C本館外壁(ファサード)

 

今回紹介するのは、玉川高島屋S・C本館のアーケードである。国道246号線沿いの外壁面に、新たなファサードとしてアーケード部分を付加するという意図で行なわれたもので、本館建物と前面道路とのバッファゾーンをデザインするというものである。

 

設計は、隈研吾建築都市設計事務所、竣工は2010年である。本館は、一つの建物ではあるが、屋上にフォレストガーデンを配す6階建て部分と、1~2階部分は3階に接続する部分にローズガーデンを配す2階建て部分とがある。アーケードの付加は、この低い部分の外壁に施された。ここは、南北に通る前面道路と既存店舗との間を繋ぐ部分である。バス停があるので乗降客も多く、バス待ちの客、駅に向かって歩く人、駅から来る人、本館へと至る人の複数の動線が重なり合う部分になる。

 

平面的には、建物と歩道とを繋ぐ部分に納まり、バッファゾーンの役割を果たしている。付加されたアーケードの下とバスの乗降客がいる部分の両方に跨ぐようにして中庭が配され、ベンチを周回させているので、さらにその繋がりは柔らかくなっている。中庭は、定期的に途切れて、それぞれの中庭を回遊できる。つまり、人の動線も複数処理できることになる。駅に向かう人は、南北に抜けるアーケードは風が抜けて涼しく、日差しも除けられ、バス待ちの客を除ける意図も働いてアーケード下に入る。バス待ちの客は、バス停近くの中庭の外側ベンチに座って待つ。駅からの人は、最初からアーケード下の人と、しばらく外を歩き、バス停が近付いてきてアーケード下を歩く人などがいる。また、2階やローズガーデンに向う人は、アーケード内のエスカレーターで直接上がって行くことができる。本館と道路の間を繋ぎ、南北に抜ける通路とバス待ちゾーンとの間の繋がりを中庭とベンチでやわらげている。

 

立面的には、1.5mm厚のアルミ板を縦に使って並列させたもので、低層部分を覆っている。一見雲のように見えるが、緑で覆われれば印象はがらっと変わるのだろう。竣工後9年を経ていることもあり、竣工時よりは緑も多くなってきている。ビルとビルの間の壁面を彩る役割も果たしているが、緑陰隧道となる日が楽しみである。

 

参考:玉川髙島屋S・Cホームページ https://www.tamagawa-sc.com/ 

隈研吾建築都市設計事務所 ホームページ  https://kkaa.co.jp/works/architecture/tamagawa-takashimaya-s-c/

 

 

 

博士(工学)、有限会社花野果 代表取締役

二村 悟

Satoru Nimura

受賞歴:O-CHAパイオニア学術研究奨励賞 受賞、第47回SDA賞 サインデザイン奨励賞・九州地区賞特別賞 受賞、第5回辻静雄食文化賞 受賞ほか

静岡県掛川市 (旧大東町) 生まれ。博士(工学) (東京大学)。
東海大学大学院博士課程前期修了。元・静岡県立大学食品栄養科学部 客員准教授。
現在は、有限会社花野果 代表取締役、専門学校ICSカレッジオブアーツ 非常勤講師、日本大学生物資源科学部森林資源科学科 研究員・非常勤講師、工学院大学総合研究所 客員研究員。

主な著書:水と生きる建築土木遺産 彰国社 2016、日本の産業遺産図鑑 平凡社 2014、食と建築土木 LIXIL出版 2013、図説台湾都市物語 河出書房新社 2010

花野果 HANAYAKA
https://tatemonoxxx.amebaownd.com/
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