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2024.03.28

共創と越境、東京クリエイティブサロン2024が開催。都内10エリアが躍動。

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  • #東京クリエイティブサロン

©tokyocreativesalon

 

「東京を世界一のクリエイティブシティにする」

 

2020年にスタートし、今年で5回目となる国内最大級のファッションとデザインの祭典「東京クリエイティブサロン2024」(TCS2024)が、2024年3月14日(木)~3月24日(日)の期間に都内各地で開催された。東京クリエイティブサロンは、『東京を世界一のクリエイティブシティにする』ことをビジョンに掲げ、毎年桜の時期にファッションとデザインのコンテンツを東京の主要都市で同時多発的に実施する唯一無二の祭典だ。

 

昨年の6エリアに対し、本年はエリアも拡大。丸の内、日本橋、銀座、有楽町、赤坂 、六本木、渋谷、原宿、新宿、羽田の10エリアが参画した。100以上のランウェイショーやインスタレーション、ポップアップなどのイベントが催され、100名以上のアーティストが参加。そしてほとんどのイベントが誰でも参加できるようになっている。

 

今回もスタイルアリーナは各エリアを取材し、TCS2024の見どころと東京クリエイティブサロンの目指す未来に迫ってみようと思う。これを参考に、次回のTCSには是非足を運んでいただき、世界に誇る東京・日本のクリエイティブに触れてみてほしい。

 

 

「Co-Creation Festival」
目指すのは、共創と越境のプラットフォーム

 

TCS2024のビジョンは、『Co-Creation Festival』。従来の枠組みを越えて多様なモノ・コト・ヒトが出会い、つながり、気づき、刺激しあい、創発しあう。そんな共創/越境のプラットフォームをTCSがつくることを目指している。

 

今回印象深かったのが、TCS2024の統括クリエイティブディレクターを務める齋藤 精一氏が様々なギャザリングやカンファレンスで口にしていた「東京のクリエイティブで世界を驚かせ、憧れさせる」。そして「日本のクリエイティブをつくっている人たちは全国にいる」ということ。

 

齋藤氏は、今考える課題について「日本はクリエイティブに対する自信が低い。日本のクリエイティブ産業に対する世界的な評価は非常に高いが、日本人はそのことに気付いておらず、世界に打ち出す自信が持てないでいる。TCSも『日本らしさを世界視点で磨いて、日本を世界にプレゼンテーションする最大の機会にする』ことが必要。」とTCS2024の開催前、『wisdom』で語っていた。

一部抜粋引用:https://wisdom.nec.com/ja/series/saito/2024030701/index.html

 

考えるに、この祭典は東京が軸ではあるものの、将来的には『世界一クリエイティビティな国、日本』を体現する大きな象徴となるのだろう。そしてこれを実現させることで東京以外の地場産業も盛り上がり、様々な循環が生まれ、日本全体が成長する。そんな壮大な未来が齋藤氏には見えているのかもしれない。

 

刷新された東京クリエイティブサロンのロゴデザイン

 

もうひとつ注目したいのが、この一度見たら忘れないロゴだ。今回、グラフィックとデザインシステムを刷新。賛否意見があったというロゴはアートディレクターの色部義昭氏が牽引し制作した。「東京の街の解像度にのまれない」VI(ビジュアルアイデンティティ)をデザインするにあたり「不安になるくらい足りないものをつくろう」というコンセプトのもと制作したという。

 

一部エリアロゴ (左からSNJ=新宿、HND=羽田)

 

足りないということが良い点であり、育てていく余地のある、今後TCSとともに成長するロゴに仕上がったそうだ。キーとなっているイニシャルは空港コードのように各エリアを3文字に省略して表現し、横に広がっている外枠は東京を象っている。これらをビジュアルに活用することによって、ビジュアルシステムのジェネレーター化にも繋がると同時に、東京の各エリアで様々なイベントが同時開催されるTCSの特徴を印象づけているそうだ。今回のロゴをベースに今後も展開していくそうなので、来年どんな成長を遂げるのか密かに楽しみである。

 

さて、ここからは各エリアのコンテンツに触れていこう。100以上のコンテンツの中から複数ピックアップしご紹介する。

 

TCSの幕開けを告げる、オープニングイベント

 

TCS2024のオープニングを飾るのは、ここ代々木第一体育館から。「Rakuten Fashion Week TOKYO」と連動したランウェイショーに、デザインについて深く考えるカンファレンス、TCSのスタートを祝うパーティーまで、あらゆるクリエイター、メディア関係者、一般来場者やファッショニスタが集結し、様々なコンテンツを堪能した。

 

ラストを飾った圧巻の「MIKIO SAKABE」のランウェイショー

 

目玉である東京コレクションのファッションショー。「AKIKOAOKI」「MURRAL」につづき、ラストを飾ったのは「MIKIO SAKABE」だ。一般の人々も多く訪れ、TCSが当初から唱えている「誰でも参加が可能なファッション&デザインウィーク」を見事に形にしていた。初日1日での全てのコンテンツ動員数は4,000人を超えたといい、多くの人がTCS2024の開幕に立ち会う貴重な瞬間となったことだろう。

 

TCS2024終了後、本オープニングもメインで担当したファッション統括ディレクターの松井智則氏は「代々木体育館が良いスタートダッシュとなった。今回は参加者としてもそうだが、あらゆる場所をいち参加者として巡ったが非常に面白かった。TCSの目指しているところに辿り着くには、数年はかかる。クリエイティブとはなんだろう?ということの議論も必要ではあるが、まずTCSはクリエイティブが好きな人たちが集い、出会い、化学反応が起きるような場所であればいい。」と語った。

 

©AKIKOAOKI

©AKIKOAOKI 

MRN「丸の内」
仲通りで感じる本物のクリエイション

 

日本を代表するオフィス街でありながら、人によりそう街といわれる「丸の内」からは、期間中丸ビル 1階 マルキューブに展示された複数のコンテンツにフォーカス。

 

古着アイテムをリメイクするNEW VINTAGE WORKSHOPや、ワークショップに参加した気鋭のクリエイターたちの作品を展示。さらには「日本美術の拡張表現」と題し「桜の名手」として知られた画家・菊池芳文による作品《小雨ふる吉野》が描かれたであろう環境を、インスタレーション空間として再現し、来場者たちはもちろん居合わせた人々までも惹きつけていた。

 

 

 

NHB「日本橋」
クラフツマンシップの精神が根付く城下町

 

日本最古のビジネス街と表される日本橋は、長い歴史を持つ商業と文化の街だ。『江戸桜通り』があるように、桜が印象的である日本橋はエリア全体で「SAKURA FES NIHONBASHI」として桜を打ち出した。

 

写真は「日本橋が、桜に染まる」をテーマにしたSAKURA TEXTILE PARK Market。鮮やかな桜が映える暖簾や風呂敷は、昔から布文化が根付く日本橋らしいプロダクトだ。あたたかな温もりを感じさせるウッディなブースとこれらのテキスタイルが、人々の憩いの場所を彩っていた。

 

 

 

YRC「有楽町」
芸術文化と国際ビジネスの交流で賑わう街

 

有楽町からは、今回の注目コンテンツのひとつである「エールフランス航空」の ユニフォームコレクションを、ランウェイ形式で披露する『90年にわたるエレガンス・ファッションショー』と、フランス国外で初めてのお披露目となる『90周年記念ドレスの展示』をピックアップ。

 

ランウェイに登場したのはクリスチャン・ディオール、クリストバル・バレンシアガ、カルヴァンやニナ・リッチなどモード界を牽引し、フランスの美学を世界に広めた巨匠たちのデザインの数々。クリスチャン・ラクロワがデザインした最新のユニフォームまでの合計16ルックが披露され、来場者を魅了した。

 

1963年〜クリスチャン・ディオールのデザイン

1969年〜クリストバル・バレンシアガのデザイン

1978年〜カルヴァンのデザイン

そして本ファッションショーの開催を記念し、パリ・オペラ座バレエ団の衣装工房を担当するデザイナー、グザヴィエ・ロンゼがエールフランス90周年のために制作し監修をしたドレスを、フランス国外で初めて展示。併せて当時の貴重なニナ・リッチのスカーフなどの小物も展示され、貴重なアーカイブのアイテムに人々は足をとめて興味深く眺めていた。

 

 

AKS「赤坂」
商業・文化・政治の礎を築いてきた表舞台

©Yoshitomo Okuda

 

江戸期は大名の上屋敷街として発展し、現在は多くの大企業が本社を構え、国会議事堂や、放送局や劇場も存在する街、 赤坂。そんなビジネス、政治、文化が融合する赤坂からは情報解禁後から注目が高かった「La Fête(ラ・フェット)」をチョイス。今や日本を代表する気鋭のドレスデザイナーTOMO KOIZUMI(小泉智貴氏)と、世界的バレエダンサー 熊川哲也氏が率いるK-BALLET TOKYOとが融合する贅沢なスペシャルコラボステージだ。

 

©Yoshitomo Okuda

©Yoshitomo Okuda

テーマは「喜び」。タイトルになっている「La Fête」は、フランス語でお祭りや祝宴という意味をもっており、ポジティブなエネルギーを表現したいと本ステージの振付・演出・構成を手がけたK-BALLET TOKYOのプリンシパルである堀内將平氏は語っていた。最高峰の舞台芸術であるバレエと、ファッションの最上級であるオートクチュール、互いの良さを活かすことで新たな表現と価値を創造することに挑戦したのだろう。

 

小泉智貴氏がバレエからインスピレーションを受けて制作したというドレスは、ダンサーひとりひとりのダンスをより際立たせ、重力を感じさせないほど美しく軽やかに舞うその姿は、人々を「La Fête」という名の楽しげな世界観へ誘う。ダンサーの圧倒的な身体性、小泉智貴氏の夢のようなドレス、ステージの演出と構成すべてが完璧なまでに融合し、TCS2024の『共創』のキーワードを具現化した見事なステージであった。

 

©Yoshitomo Okuda

 

RPG「六本木」
「一流」が集うラグジュアリーな大都市

鳩居堂 [お香] × ガムフラテージ “KYU” / お香とお香たて。繊細でスタイリッシュな逸品。

 

東京ミッドタウンをはじめとする大型商業施設にラグジュアリーブランドや高級な飲食店と、華やかなイメージも強い六本木だが、今やアートな街の一面をもっている。街中にパブリックアートが点在し、国立新美術館などの大型美術館から小さなギャラリーまで、多くのアートに日常的に触れることができる、まさにクリエイティブなエリア。そんな六本木からは「Japan Creative展」をご紹介しよう。


鳩居堂 [お香] × ガムフラテージ “HATO” /  このかわいらしい鳥のフォルムのアイテムは、なんとお香。

 

「日本のものづくりの精神を探る」と題した本展では、一般社団法人ジャパンクリエイティブが取り組んでいるプロジェクトの作品を鑑賞。すべての製作物に日本の伝統的な技術と新たなクリエイションが加わり、見事に新たなステージへと昇華させていた。

 

同団体のプロジェクトの主なアクションは、『日本のクリエイターと国内外のデザイナーをつなぎコラボレーションすること』。日本に受け継がれてきたものづくり精神と創造性を探り、情報として発信するだけではなく、それら「ものづくり精神」を受け入れながらも進化させるべく、普遍的な価値と新しい可能性を日々、日本各地の職人と探っている。

 

タケヤリ [帆布] × フェイ・トゥーグッド “ABCD”

 SBY「渋谷」
境界線を飛び越えて、絡まり合う人間交差点

映画『燃えるドレスを紡いで』についてディスカッショントークをする場面

左からエリア統括クリエイティブディレクターの田中ヒロ氏、ファッションデザイナーの中里唯馬氏、関根光才監督

 

日々進化し、今も昔もトレンドの中心でありながら、世界から注目され続ける渋谷。目玉のひとつはTCS2024の期間中、渋谷に登場したパリ・オートクチュールウィークに参加している唯一の日本ブランド「YUIMA NAKAZATO」によるクチュール衣装。今年6月にフランスで開催される個展『BEYOND COUTURE』と連動し、バイオベンチャー企業「Spiber」が開発する植物由来の原料を元に微生物発酵によって生産される人工タンパク質素材「Brewed Protein™」を使用した「Atlas」を展示。街中の色んな人に観てほしいと、パブリックスペースである渋⾕駅東⼝地下広場に設置された。そのほかにも「SHIBUYA RUNWAY “THE SHOW”」や「ファッション物産展 in MIYASHITA PARK」、被災した職人たちを讃えるコラボレーション「輪島塗と九谷焼の出会い」など、世界でも類を見ないトレンドエリア『渋谷』の良さを最大限に引き出したコンテンツが目立っていた。

 

渋谷エリアのクリエイティブディレクターである田中ヒロ氏は、TCS終了後「どのエリアも素晴らしいクオリティに仕上がっていた。渋谷も他のエリアと共創し繋がりながらもコンピートし、相互でより良いものを作っていきたい。そうすることがTCSのクリエイティブと未来を創っていく。」とコメント。今後のTCSにおいて渋谷エリアはもちろん、各エリアのより大きな可能性を感じさせてくれるポジティブな田中氏の言葉に、期待が高まったのは言うまでもない。

 

YUIMA NAKAZATOのクチュール衣装「Atlas」

“水引”を用いたのオリジナル衣装を纏う、渋谷のシンボルハチ公像

HRJ「原宿」
ストリートから派生するトレンドの発信地

FRUITS ZIPPER(フルーツ ジッパー)SWEET STEADY(スイート ステディ)、KAWAII LAB.MATES(カワイイラボメイツ)のメンバーたち

 

KAWAII MONSTER SHOP のスタッフ

 

ストリートカルチャーの聖地であり、日本のカワイイ&ポップカルチャーを体現する街、原宿。長年日本のファッションの歴史を紡いできた原宿・裏原宿ならではのコンテンツ「ウラハラニューヴィンテージフェス2024」に注目しよう。キャットストリートを舞台に、ストリートランウェイやフリマを同時開催し、街ゆく人々を笑顔で包んだ素晴らしい瞬間であった。テーマは「サスティナブルと多様性」。アソビシステム オープニングランウェイに始まり、裏原宿にお店を構えるAWSOME BOY(オーサムボーイ)ランウェイなど全9つのランウェイを開催した。

 

同じ古着から生まれるリンクコーデ

ウォークを終え安堵の笑顔を浮かべるモデルたち

中でも話題になったのが、介護職と高齢者の方々による感動的なウォーク「LiNK WALK」だ。現役の介護職ら10名と、実際に介護サービスを利用している5名の合計15名が、モデルとして参加しランウェイのレッドカーペットを彩った。モデルたちは皆それぞれに特徴的なアイメイクやヘアアレンジをして登場。衣装は総合プロデューサーである、一般社団法人KAiGO PRiDEのマンジョット ・ベディ氏のコンセプトを受け、コスチュームデザインチームの「Jas&Michiko」が担当。異なる素材や洋服をリメイクし、全てハンドメイドで仕立てられた衣装は、ランウェイを歩くペアで”リンクコーデ”になっていた。「世代をリンクさせ、それを着る二人をもリンクさせるファッション」を実現させたという。

 

ランウェイ終了後、KAiGO PRiDEは「このランウェイを通して、誰もが支え合っていること、人と人の支え合いが笑顔を生み出すことが30mのレッドカーペットの上に表現されました。多様性とWell-beingを求めるこれからの社会において、日本の真ん中の仕事になっていく介護という領域に身を置くプロフェッショナル達が、ファッションとクリエイティブを通して新しい価値を創出したイベントになりました。」とコメントを発表。若者の街「原宿」でこのショーを開催した大きな意味は、きっと観る人々に伝わったに違いない。

 

AWSOME BOYのモデルたち

同時開催のウラハラでフリマ!!

 

HND「羽田」
ここから生まれる、出会いと旅立ちの物語

「デニム×和紙のファッション神輿。」

「三社祭」の本社神輿を謹製する宮本卯之助商店が手がけた、Cygamesのオリジナル神輿は圧巻だ。

 

羽田エリアは本年クリエイティブディレクターを、山本寛斎事務所が担当。代表の高谷健太氏は今回、「共創・越境」のスローガンと、羽田は地方や海外とも繋がる場所だということ、そして羽田は大田区に位置していることを意識したという。羽田から他のエリアへ東京クリエイティブサロンらしさが、なにか滲み出る立ち位置でありたいと思い臨んだそうだ。

 

そんなTCS2024の羽田エリアのテーマカラーは青春の「青」。デニムの一大産地であり日本一の生産量を誇る、広島県福山市のカイハラデニムを用いた作品が多く展示された。TCSの期間中、日本の玄関口であり「世界で最も清潔な空港」といわれる羽田空港を美しく染め上げた”HANEDA BULE”は、出会いと旅立ちゆく人々の心にも残ったであろう。

 

「デニムが彩るファッションの青い森」

ファッションを学ぶ学生たちが参加した、いけばな草月流×ファッションの展示。

「西陣織にテクノロジーの革新を」

長年研究されているカイコの遺伝子組み換え技術により、光るシルクが誕生した。

 

Next Fashion Designer of Tokyo 2024 / Sustainable Fashion Design Award 2024

 

本イベントは東京都が、東京をパリ、ミラノ、ニューヨーク、ロンドンと肩を並べる「ファッションの拠点」にしていくための取り組みのひとつ。未来を担う若手デザイナーを日本・東京から生み出し、世界で活躍できる人材に育てていくことを目的とした、学生などを対象としたコンクールだ。本年は都内の学生らによる応募総数1,300件、計2,300点のなかから選ばれた優秀な作品を、多くの観客が見守るなかファッションショー形式で「有楽町マリオンセンターモール」で発表した。

 

フリー部門 東京都知事賞・大賞

文化服装学院 立澤拓都 作品名:ほころび

 

インクルーシブデザイン部門 東京都知事賞・優秀賞

東京モード学園 速水美里 作品名:あべこべ

 

 

インクルーシブデザイン部門

ESMOD TOKYO 稲野 雄斗 作品名:希望

インクルーシブデザイン部門

文化服装学院 津村 映李 作品名:丈を自由に調節できる服

多くの観客が見守る中、2次審査を通過した東京都知事賞候補の12組によるファッションショーを実施し、最終審査員による厳正な審査の結果、東京都知事賞は、フリー部門の大賞を立澤 拓都氏(文化服装学院)が、インクルーシブデザイン部門の大賞を速水 美里氏(東京モード学園)が受賞した。最終審査結果発表には小池百合子東京都知事や審査員・特別アドバイザーの方々も駆けつけ、未来の日本のファッションを担う学生たちにエールを送った。

 

小池百合子東京都知事や審査員、特別アドバイザー、受賞者、モデルの方々

 

SDGs ACTION「Tokyo New Vintage」

©tokyocreativesalon

 

近年ファッション・デザイン業界は、過剰在庫や大量廃棄、環境負荷の高さが問題視されている中、TCSとしても新たなSDGsのアクションを実施。古着回収やアップサイクルを行う「FASHION X」とタッグを組み、期間中9つのエリアに洋服の回収ボックスを設置した。「服を持って街へ出よう!ACTION SDGs」という呼びかけを行い、着なくなった古着を回収。集められたアイテムはクリエイターたちの手によって、新たな作品に生まれ変わり、新たな役割を担うという取り組みだ。TCS2024の期間に集まった古着は96.2kg。これらは「Tokyo New Vintage」のコンセプトのもとリユースはもちろん、ファッションショーで使われることもあるそう。今回のTCSで回収されたアイテムが、再びTCSの場で日の目を浴びることとなれば、こんな素晴らしいことはないだろう。

 

今考える、目指すべき東京のクリエイティブな未来

 

5回目となるTCS2024は大成功を納め、閉幕。終了後、統括共創ディレクターの浜野良太氏はこう語っていた。

 

「今年感じたことは、自身を含めて、TCSの参画者はもちろん個々人があらゆるものを超えて、東京、日本、社会のことを考えるようになっている。この熱量をもってすれば、数年後には、TCSが目指す場所に到達するのではないかと思うし、そうなると『東京が世界一のクリエイティブシティ』と呼べるのではないか。今後はより地域やエリアを掘り起こしし、磨いていきたい。そのためにも来年に向けて、より多くのことにチャレンジしていきたい。」

 

昨年に引き続き、各エリアを密に取材したスタイルアリーナだが、一連の取材を通し圧倒的に感じた点は、浜野氏の言葉にもあるように、昨年よりもパワーアップしたあらゆるモノの熱量だ。ヒトだけではなく作品、様々なコトやモノにくわえて空間や各エリア、もはや東京全体が一体となって横と繋がりをみせ、躍動し大きなパワーを帯びていたように感じた。

 

そして各エリアが越境しながらも、見事にそれぞれのエリアの文化や歴史を踏襲し、個性を感じられたことも魅力のひとつであったといえる。異なるモノ・コト・ヒトたちが互いを多様性の中で認め合い、高め合い、共創していく。これこそが東京クリエイティブサロンの目指す「東京を世界一のクリエイティブシティ」への大きな一歩なのだろう。きっと数年後には、世界から憧れられる”クリエイティビティ”に溢れる日本が待っている。

 

総論として、TSC終了後に語られた廣内武会長の言葉で締めくくりたいと思う。

 

TCS全体がまとまり、力がついてきた。個々のエリア含めて、TCSの器作りができてきたと思う。東京はポテンシャルがあるが、大きすぎて力が分散してしまう。ここをまとめて、ひとつの力にするためには突破するための切り口がまだまだ必要だ。皆さんと力を合わせてミラノサローネのように、世界中から人々が集まるイベントを目指したい。」

 

左から松井 智則氏、坂部 三樹郎氏、廣内 武会長、大西 洋副会長、齋藤 精一氏、浜野 良太氏、田中 ヒロ氏

 

企画プロデュース

 

統括クリエイティブディレクター

齋藤精一

建築デザインをコロンビア大学建築学科(MSAAD)で学び、2000年からニューヨークで活動を開始。2006年株式会社ライゾマティクス(現:株式会社アブストラクトエンジン)設立。社内アーキテクチャー部門『パノラマティクス』を主宰し、行政や企業の企画、実装アドバイザーなど数多く行う。2023年-グッドデザイン賞審査委員委員長。2025年大阪・関西万博EXPO共創プログラムディレクター。

統括共創ディレクター

浜野良太

「共創」×「プロジェクトビルディング」を通じて、社会に貢献することをテーマとして活動。2017年経済産業省とともに、プレミアムフライデー運動の立ち上げ/2018年西日本豪雨・北海道胆振東部等の観光復興支援活動/2020年〜官民連携イノベーション創発プロジェクトイノベーションガーデン/2021年〜クリーンエネルギー地熱発電の啓発プロジェクト推進/2020年〜Tokyo Creative Salon統括共創ディレクター/2023年〜福島復興プロジェクト、万博事業、民間の共創案件も数多く手掛けている。

ファッション統括ディレクター

松井智則

2000年にアッシュ・ペー・フランス(株)に入社し、社内小売店やPR 部門を経て2006年にアタッシェドゥプレス「PR01.」事業部を立上げ、国内外のブランドのPRや、海外での広がりを加速させる。2017年3月アッシュ・ペー・フランス㈱の事業の一部であるPR01.事業部が同社より事業譲渡を受けて新会社「株式会社ワンオー」を設立。株式会社ワンオー代表取締役に就任。現在、国内外約50ブランドのPRを手がけ、ファッションから行政まで幅広いクライアントのブランディング・コンサルティング事業に携わる。

エリア統括クリエイティブディレクター

田中ヒロ

広告会社·PR会社を経て、2014年東急エージェンシー入社。

リアル体験フィールドに軸足を置くクリエイティブディレクターとして一般消費財や街、商業施設のブランディングや空間コミュニケーションデザインを数多く担当。PR会社で培った経験に基づくPR発想をベースに、リアルプロモーションからCM(MOVIE)、グラフィック、WEB、SNSまでトータルで効くコミュニケーション設計による「体験デザイン」を仕掛けている。

 

実行委員会のご紹介

 

主催 東京クリエイティブサロン実行委員会

エリアイベント主催/代表企業

丸の内ファッションウィーク実行委員会 ・・・ 三菱地所株式会社

東京クリエイティブサロン日本橋実行委員会 ・・・ 三井不動産株式会社 株式会社髙島屋

東京クリエイティブサロン銀座エリア実行委員会 ・・・ 株式会社松屋

有楽町ファッションウィーク実行委員会 ・・・ 株式会社阪急阪神百貨店 株式会社ルミネ

東京クリエイティブサロン赤坂エリア実行委員会 ・・・ 株式会社TBSホールディングス

渋谷ファッションウイーク実行委員会 ・・・ 東急株式会社

東京クリエイティブサロン原宿エリア実行委員会 ・・・ 東急不動産株式会社

東京クリエイティブサロン羽田エリア実行委員会 ・・・ 日本空港ビルデング株式会社

東京クリエイティブサロン六本木エリア実行委員会 ・・・ 東京ミッドタウンマネジメント株式会社

東京クリエイティブサロン新宿エリア実行委員会 ・・・ 株式会社髙島屋

参画団体 一般社団法人日本アパレルファッション産業協会

     一般社団法人日本ファッションウィーク推進機構

会長 ・・・ 廣内 武

副会長 ・・・ 大西 洋

顧問 ・・・ 清原 雅文

Ayumi Fukushima

ファッションラバー。バイヤーを経験後、現在はディレクションをはじめ、エディター兼ライターとして広くて活動中。

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