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2023.12.16

【独自取材】蜷川実花展 Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠

  • #展覧会レポート

 

 

「集大成であり、新たなスタートです」

 

 

そう蜷川実花氏本人が口にする、過去最大規模の展覧会「Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠」が12月5日に都心の45階、東京・虎ノ門の”TOKYO NODE GALLERY(トウキョウ・ノード・ギャラリー)”の開幕展としてスタートした。

 

本展は写真家・映画監督の蜷川実花氏が率いるクリエイティブチーム EiM(エイム)として臨んだ注目の展覧会だ。

 

「五感型イマーシブ体験」「100万色の桃源郷」「東京の地上200m」など、本展を表すワードは魅惑的かつ、想像がつかないイマジネーションを掻き立てるものばかり。CGを用いずに”現実のリアル”にこだわり、映像インスタレーション、写真、立体展示など全11の作品から構成された本展は、それら個々の作品すべてが本展のために制作された新作だという。

 

 

この会場でしか体験することのできない、時間によって変化する外光や東京の街並みさえも作品の一部に溶け込んだ圧巻の空間。そして視覚はもちろん音や香り、触れるインスタレーション空間や「食」を表現する特別なスイーツメニューなど様々なコンテンツが目白押しだ。さらに本展の開催を記念し、数量限定のデザイナーズブランドとのコラボグッズやアイテムが買えるPOP-UP ショップも併設されている。

 

今回スタイルアリーナ編集部はこの唯一無二の展示会の魅力を深ぼるべく、蜷川実花氏に独自インタビューを実施。本展のこだわりや見どころ、ファッション好きのユーザーへのメッセージなどを伺った。

 

コラボアイテムの「M A S U × MIKA NINAGAWA」のジャケットと
「TENDER PERSON × MIKA NINAGAWA」のレザーバッグを身につけた蜷川実花氏

 

ー今回の展覧会は蜷川実花さんにとって過去最大の展覧会とのことですが、本展の魅力についてお聞かせください。

 

あらゆる点で新しい挑戦だったということでしょうか。写真がほとんどなくて、写真を写真として展示しているものがないんです。映像だったり、空間の表現だったり、すべてが体験型の展示になっていると思います。

 

それがもう圧倒的に今までの展覧会との相違点で、表現のアウトプットの仕方が今までと全然違いますし、そこが魅力のひとつですね。

 

ーでは、今までの展覧会との共通点はなんでしょうか?

 

私が表現したいこと、蜷川実花の世界観です。花や蝶などのモチーフだったりもそうですね。今まで通り、その「蜷川実花」の世界に入っていただけるような点は本展でも表現できたかなと思います。

 

ー なるほど。写真や映像といった二次元、三次元以上の「五感体験型」にチャレンジしたきっかけはあったんですか?

 

今回にかぎらず、展覧会をやるからには実際に見に来ていただく意味や何を感じてもらえるかを考えています。インスタレーションのような体験型の展示は今までもやってきました。今回はEiMというチームを組んだことで表現の幅が広くなり、出来ることがとても増えました。

 

宮田 裕章さん(データサイエンティスト・本展のエグゼクティブディレクター)とはいろいろと対話してきているので、コンセプトも私ひとりで考えるよりも、視野を含め広がっていきました。その方向性が没入型にどんどんと向かって行ったというか。

 

「没入型」のような表現はかなり初期からやってみたかったんですが、これまでできなかったことが今回やっと実現できました。

 

ー蜷川さんの中でも、本展は一つの目標が叶った展覧会でもあるんですね。

 

そうですね。今までも映画を撮ったり、もちろん写真を撮ったりと色々なものを作ってきたんですけど、それらの経験値や培ってきた能力みたいなものを全て集結させて今回の展覧会が出来ていると思っていて。

 

ある意味では集大成かもしれないです。そしてここからまた一歩前に進めるというか。終着点でもあり、スタート地点でもある、そんな面白い展覧会になっていると思います。これからももっと、色々なことが出来そうだなってワクワクしています。

 

ー確かに以前の展覧会と共通点もあり、さらなる進化も感じました。

 

これまでやってきた個展では写真の展示がメインでしたが、その中でも一部インスタレーションの空間があったものもあります。そういった過去のアウトプットの手法を、より広げていき、本展で飛躍していった感じもあると思います。

 

 

ー素晴らしいですね。点と点がリンクするような、昔からの蜷川さんのファンの方はより楽しめる展示になっていますね!

ではここからは本展とファッションとの相互関係についてお伺いします。蜷川実花さんはファッションへの造詣も深く、今回のグッズの中にもファッションブランドとのコラボアイテムがありますね。本展においてファッションとの共通点やエピソードがあれば教えてください。

 

ファッションが直接的に展覧会の中身に影響した点があるかといったら、そうではないですけど、時代の感じる空気感だったり、街だったり、「東京であること」みたいな点は結構意識して作りました。

 

ー確かに展示の中身で「東京」を感じるシーンがいくつかありました。

 

そういった意味では今回のデザイナーズコラボは、東京を感じさせるし、私自身も実際に着ていたり気になっていたブランドばかりなので、「蜷川実花展・ファッション・東京」のそれぞれにとってすごく親和性を持てたと思っています。

 

 

ー「FETICO(フェティコ)」や「M A S U(エムエーエスユー)」など東京コレクション(楽天ファッションウィーク)に参加しているブランドですね。

 

はい、そういったファッションに興味があったり、感度の高い人たちにも見に来てほしいと思いますし、この展覧会への入り口にもなるなと思っていて。

 

この会場は虎ノ門で、45階だし、ストリートから遠いじゃないですか?なのでその街中やストリートにいる感覚が鋭い方たちにどうやってここまで(展覧会)来てもらえるかっていうのは一つの大きなチャレンジでもありますね。

 

ー本日冒頭の合同インタビューで「杉山央さん(森ビル株式会社 本展プロデューサー)」がこの東京の新たな情報発信地である「TOKYO NODE(トウキョウノード)」の開幕展を飾るアーティストを数年間探していた中で、EiMの蜷川さんや宮田さんに「ここでやるべきだ」と仰ったというエピソードがありましたね。時間帯によって東京の夜景がインスタレーションの中に溶け込んだり、この場所でしか体験できない価値があると。

 

この会場は東京らしさをとても感じることができる場所でもあります。一方で虎ノ門はスーツのイメージが強いと思うので、(来場者にとって)どれだけ軽やかな要素というか、キャッチーなことを取り入れられるかもすごく重要でした。

 

その点で、やっぱりデザイナーズブランドとコラボレーションさせていただけたのはとても良かったです。そしてその「東京」ならではの街の感じる空気やイメージみたいな要素は本展の作品の中にたくさん落とし込めたと思います。

 

 

ー今回のキーワードは「五感型イマーシブ体験」ですが、空間の中にいる来場者の方もアートの一部だと思います。皆さんにはどんなファッションで遊びに来て欲しいですか?

 

やっぱり、自分自身が気持ちのいい服装で来ていただけたら良いなと思うんですよね。こうじゃないといけない、ああじゃないといけないっていうことは無くて、解き放たれる場所だと思うんです。アートの空間って。

 

もちろんオシャレをしてしてきてくれたら華やかだし楽しいですけど、私自身が来場者の方に「こんな服装で」というよりは、皆さんが自分の着たい洋服を着て、気持ちが良いスタイルで遊びにきてくださったら、それがまた多様な色になっていきますし。

 

展覧会の中の「Intersecting Future」というお花の作品のエリアは、いろんな種類の花が自由に咲き乱れているんです。現実ではありえない、季節が異なる花が同時に咲いていたり、多様な形で表現しています。

 

もちろん撮影していただけるので、「このエリアにはこんなファッションがいいかしら?」なんて、そんな気分や発想だったりも含めて、楽しんでもらえたら嬉しいですね。

 

ー来場する時間によって作品の見え方が変わったりと、何度でも遊びに来たくなりますし、作品に合わせてファッションを選んで来場するのもとても良いですね。

 

では最後に。

今回蜷川実花さんが特にこだわった、来場者に伝えたいメッセージをお願いします。

 

今回は本当にたくさんの方たちとチームを組んでいて、多くの映画関係のスタッフにも参加してもらっています。照明部や美術部が映画でご一緒しているメンバーだったり、音楽も音楽監督が入っていたり。

 

あまりそういった作り方をする展覧会は他にないので、観終わった後に一本の映画を観終わった後のようなストーリー性を感じられる体験の深さがあると思います。各作品が個別に立っているのではなく連なることで、一つの大きなストーリーに繋がって、そう「一枚のアルバム」かのようになっていると思います。

 

そんな各作品の繋がりの部分を含めて、この展覧会を楽しんでもらえたら嬉しいです。

 

 

蜷川実花氏の言葉からもわかるように、今回の「蜷川実花展 Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠」への期待は胸が高鳴る。

 

色で多様性を表現。「100万色の桃源郷」

 

さらに、本展を作り上げたクリエイティブチーム EiM(エイム)の重要メンバーであるデータサイエンティストの宮田 裕章さんのトークセッションでのコメントを一部紹介する。

 

宮田裕章(データサイエンティスト)

本展のコンセプトの一つは「100万色の桃源郷」です。諸説ありますが人が認識できる色は”100万色”と言われています。

 

しかし、現代社会から色が消えているという研究がいくつかあるんです。過度なく、みんなに受け入れられるように、この数十年で色を消していくブランディングが非常に増えていると。多様性の時代である一方で、繋がりすぎたことで個性を表現することを躊躇する状況もあるのかもしれません。

 

そんな時、多様性にもう一度目を向ける可能性のひとつが「色」だと思います。本展の100万色の中で来場者の方の未来を広げることができればと思いますし、この”多様な色づかい”は蜷川さんの作風でもありますが、今回の展覧会に非常にマッチしている。

 

VRやスマホの中といった”視覚”、”聴覚”だけではなく時間によってうつり変わる外光であったり、身体全体で感じれること、今この時代にこの場所だからこそ体験できることがこの展覧会の表現のひとつであり特徴になっていると思います。

 

制作する上で意識したポイントは、具体的なことではなく、誰にでもある日常の延長線上には、自分が見る角度を少し変えるだけでこんなにも世界は美しいということ。その日常の中の美しさをどう表現できるかを突き詰めました。

 

誰もが感じたことのあるであろう、心象風景やその先にある未来を感じていただけるような提案になっていればと思います。

 

 

 

蜷川実花氏、最大規模の展覧会とは

 

さて、ここからは本展の見どころをピックアップして一部をご紹介。

 

 

「残照 Afterglow of lives」本展の入口は色のない世界から始まる。暗い空間のその先に光が刺すような、いのちが生まれ散っていく生命のサイクルを、様々な時間軸の中で表現した空間展示だ。枯れたひまわりの花で構成されたこの作品で注目して欲しいのは二面性。誰しもが明るい時間だけではなく、そして美しさは一瞬にして変わるものであり、しかし暗転したとしてもそこからまた新たな未来・再生への道が開けることを示している。

 

 

本展のアイコニックな作品「Flashing before our eyes」は、圧巻の没入空間。寝転ぶこともできる広々としたスペースに広がる、壮大な本作は走馬灯を見るかのような映像体験の極みである。さらに昼と夜とでは見え方が変わることも醍醐味のひとつ。地上200mの東京であることをより感じたい方は、ぜひ夜に訪れてみてほしい。

 

 

「Intersecting Future 蝶の舞う景色」圧倒的に咲き誇る花々のなかに、蝶が舞うこの空間は音、香、光など多くのアプローチで多様に五感に迫り、人々を呑み込んでいく。一瞬の中の虚ろい、変化していくはこの美しい作品は現場でしか体現できない。ちなみに光の表現は五分間のサイクルで変わるそうなので、ぜひ時間をかけて体験してほしい。

 

 

展覧会も終盤の時、そこには五層の大きなスクリーンが織りなす「胡蝶のめぐる季節 Seasons: Flight with Butterfly」が広がり、まるで「胡蝶の夢」を見ているかのよう。本作品は蝶に誘われるかのように、日本の四季を花々でめぐる優美な映像体験だ。宮田氏も「人々がそのスクリーンの間に入ることで、”人影”が映し出され、より魅力的になる」とコメントしていたように、来場者も空間のアートの一部になる幻想的な空間は必見。

 

 

 

オフィシャルPOP-UPショップ

 

 

蜷川実花展の来場者のみが入場・購入できるオフィシャル POP-UP ショップでは、デザイナーズブランドとのコラボレーションアイテムを数量限定で販売する。さらに「TOMO KOIZUMI」が本展を記念して、アートピースとして制作したスペシャルなドレス(非売品)も展示され、その他にも本展限定のグッズがたくさんラインナップしている。

 

TOMO KOIZUMI(非売品)

 

FETICO

MIKA NINAGAWA PHOTO PRINT MESH DRESS
¥39,600

TENDER PERSON

Fantasy tops for MIKA NINAGAWA
¥25,300

M A S U
SPIKY JACKET for MIKA NINAGAWA DARK RED / PINK
¥52,800

KIDILL

MOTH / FLOWERS
¥28,600

 

TOKYO NODE DINING 45F 限定メニュー

 

フランボワーズのパルフェ 〈 店内限定 〉2,500 円

マカロン 〈 店内・テイクアウト 〉各 900 円

「食」の表現である、高層階からのアーバンビューが魅力の「TOKYO NODE DINING」でのみ提供される、限定の魅惑的なスイーツとドリンクにも注目したい。蜷川 実花本人が現地パリで小林圭シェフと相談して作った、目にも美しいスイーツの数々は食べるのが勿体無いほど美しい。アジア人初のフレンチミシュラン3つ星を獲得した小林圭シェフとのコラボメニューは、45Fのみで提供だ。

 

ぜひ何度も足を運んで欲しい、展覧会「蜷川実花展」

 

桑名 功(森ビル株式会社 本展クリエイティブディレクター)、蜷川 実花、宮田 裕章、杉山 央(森ビル株式会社 本展プロデューサー)

 

伝えてきた通り本展は、”五感”をフルに活用し、自身が体験することで感じられる唯一無二の空間だ。観るものに様々な心象風景や追体験や新体験をもたらし、あらゆるアプローチで感情に訴えかけてくる。鑑賞するトキ、時間、自分の環境によって感じとることは全く変化していくことだろう。この体験は、アートの枠を超えているといっても過言ではない。ぜひ何度も足を運び「蜷川実花の集大成」を全身で体感してみてほしい。

 

 

蜷川実花展 Eternity in a Moment 瞬きの中の永遠

 

会期:2023年12月5日〜2024年2月25日

会場:TOKYO NODE GALLERY A/B/C

住所:東京都港区虎ノ門2-6-2 虎ノ門ヒルズ ステーションタワー 45F

開館時間:10:00〜20:00(火〜17:00、金・土・祝前日〜21:00)

※入場は閉館の30分前まで

休館日:年末年始

 

ホームページ:https://tokyonode.jp/sp/eim/

 

料金(平日):一般 2300円 / 大学・高校生 1800円 / 小・中学生 600円

料金(土日祝):一般 2600円 / 大学・高校生 2000円 / 小・中学生 800円 

Ayumi Fukushima

ファッションラバー。バイヤーを経験後、現在はディレクションをはじめ、エディター兼ライターとして広くて活動中。

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