スタイルアリーナは一般財団法人日本ファッション協会が運営しています。

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2018.05.22

コラムVol.90『時代を表す流行色』

  • Category FASHION

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「今季マストカラー」

 

 日に日に暖かさが増し、装いが身軽になっていると同時に差し色として使われる色も華やかになっている。今季は特に「黄色」に人気が集中し、小物だけでなく、トップスやスカートなど、様々なアイテムで取り入れられている。なぜここまで一つの色に人気が集中しているのだろうか。その理由には、季節だけでは言い表せない事実があった。

 

 

 

「色のイメージ」

 

 “ファッションは、社会の鏡”と言われる。言葉の通り、その時の経済状況や気候、起こる事件によって、ファッショントレンドは大きく左右されるのだ。例えば、2008年はリーマンショックを境に、一気に不景気の波が押し寄せた。そして、世間を賑わせるキーワードにはテロや異常気象が挙がり、そこから数年間、不穏なムードが漂っていた。この時人気を集めた色は“黒”だった。人々の気持ちが暗くなったのが理由なのはもちろんのこと、性別年齢問わず、どんなシチュエーションでも着こなすことができる黒は、節約志向に走る人々にとって救いの色となった。それとは打って変わって、2018年現在、景気も回復し始め、いつにもまして良い天気に恵まれている。街を眺めれば、インスタ映えや東京オリンピックの話題など、のほほんとしたお祭りムードさえ感じられる。そんな時代に黄色が流行らないわけがない。なぜなら、黄色で連想できる言葉は、他にはない「幸せの黄色」だからだ。つかの間の幸せを楽しむ、そんな時代を表す黄色に多くのファッショニスタが手を伸ばした。

 

 

 

「鮮やかな色味」

 

 さて、今季の黄色は、小物やトップスにも多く見られるが、特にスカートで、爽やかさを演出するのがポイント。歩くたびに揺れるスカートと黄色の組み合わせは、フェミニン代表とも思えるが、スニーカーと合わせ、カジュアルルックにも適している。また色味に関しては、キャメルに近い深い黄色というよりは、鮮やかなビビットカラーがトレンド。黄色スカートは、今季持つべきマストアイテムと言っていいだろう。

 

 

 

 

 黄色や緑、ピンクなど、トレンドカラーの差し色は年々鮮やかになっている。それは不思議にも、社会の流れにうまく合致している。私たちは個性だけでなく、社会事情によって左右される気分や思考まで色で表現しているのだ。今後も何が起こり、何が流行っていくのかを合わせてみていけば、社会の見方もちょっと面白くなりそうだ。

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