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2019.09.30

ビエラマスターと「産地の学校」の交流会が行われました

  • Category culture

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ビエラマスターの学生、月島にやってくる

 

2019年9月11日、旭化成株式会社パフォーマンスプロダクツ事業部ベンベルグ事業部および繊維マーケティング室では、東京都中央区月島にてイタリアのビエラマスター※1と「産地の学校」※2の両学生による交流会を主催しました。今回、ベンベルグ®素材の理解を深めるため、イタリア ビエモンテ州大学院「BIELLA MASTER DELLE FIBRE NOBLI」から招聘された学生は5名です。この中には、ファッションデザインを専門に学んできた学生もいますが、政治学や経済学などを学んだのち、繊維業界へ転身した学生なども数名おり、高い志とテキスタイルへの熱い想いを抱いて来日しました。

 

学生たちはテキスタイルについて現地で現物を視察しながら学ぶため、今年6月から3カ月かけて、オーストラリア、ニュージーランド、中国、アメリカなどを順次訪問しており、日本もそのうちの一つとなります。当日は、前半にセミナー、後半にプレゼンテーション、そして最後に交流会という3部構成でスケジュールが進行していきました。

 

 

築100年の古民家で日本の繊維について学ぶ

 

まず訪れたのは、株式会社糸編です。下町情緒あふれる東京・月島に、築100年の古民家を社屋として構える同社。代表を務める宮浦晋哉さんは、繊維業界を体系的に学ぶための「産地の学校 ベンベルグ®ラボ」の講師も務めています。この日は、日本の繊維産地について英語で解説をしていただきました。


尾州、遠州、北陸、富士吉田、桐生、高野口、播州、足利、久留米などひとつひとつの産地にわかりやすい地図を添付し、各地が作り出すテキスタイルの特徴や地域の特性を説明していきます。どのような生産工程を経るのか、どのように染色していくのかなど、現物の写真を交えて紹介し、産地で織られた実際の布地を回覧していきました。


マスターの学生たちは、「この布地は何と言うのか」「値段は高いのか」「糸はどのように製造しているのか」など次々と質問を繰り出し、自国のケースと比較しながら説明に聞き入っていました。


特に、高い関心を示したのは奄美大島の紬やガラ紡、ハンドプリントの技術です。紬の持つ風合い、ガラ紡の由来や形、そして糸に印刷を施していくハンドプリントについて、その仕上がりの美しさに強い興味を引かれている様子が良く伝わってきました。

 

 

 

 

 

日本の学生と交流を深める

 

その後、場所を移動して行われた第二部プレゼンテーションは、畳の香りが満ちた和室での開催となりました。ここから、「産地の学校」で学ぶ5名の日本人学生が新たに加わりました。お互いの自己紹介をするなかで特に興味深かったのは、多くの日本人学生が自ら制作した作品を持ち寄っていた事です。テイラージャケットや、個性的な色彩を放つジャンプスーツ、これまでデザインした作品画像などをスライドで見せてくれました。


この自己紹介にはイタリアの学生もとても喜び、その場で試着してみたいとサンプルを身につけるシーンもあり、場は笑いとおしゃべりで盛り上がりました。


日本の学生のなかには、ファッションデザインを中心に学んできた人、アパレルの仕事に携わり、自らオリジナルブランドを立ち上げた人、ショップ店員の経験から繊維工場へ還元できる利益について興味を持った人など、イタリアの学生に負けず劣らずユニークな経歴を持つ学生も多くいました。


プレゼンテーションの締めくくりは、マスターの学生たちによる紹介です。現在所属する大学院の概要や、ウール産地Biellaの特性、現在大学で学んでいることや今後実現していきたいことなど幅広い視点で発表をしてくれました。お互いのインスタグラムを訪ね合い、今後もつながりを深めて行けるよう笑顔で約束を交わした学生たち。その後夕食を囲んだ交流会でも、多くの会話がはずみました。

 

 

 

 

 

イタリアと日本、繊維でつながる絆

 

今回講師を務めた宮浦さんは、「イタリアの学生に、日本の繊維産地について話ができて楽しかったです。紬やガラ紡を見た時の彼らの反応も面白くて伝えがいがありました。みんなとてもよく勉強しているし、私たちと向いている方向が同じなので、<産地の学校>の学生たちとも深いコミュニケーションを取ることができました。海を越えてこんなコミュニティが築けるのは面白いですね」と話してくれました。


一方、ビエラマスターのある男子学生は、「今日ここに来るまで日本の繊維についてあまり知りませんでしたが、日本にはたくさんの繊維工業があって、進歩していることがわかりました。最近世界が、持続性とナチュラル素材について注目していますが、繊維工業を続けるには環境に配慮すべきとの視点から、今回の講義を聞いていました。その点日本の環境はきれいです。


また、イタリア人が旭化成で働くように日本とイタリアが協力し合えるのが素晴らしいと思いました。日本は学ぶべきところが多いので、いつかもっと多くの時間を日本で過ごしてみたい。共に新しい未来を作っていきたいです」と感想を聞かせてくれました。

 

こうして、「産地の学校」の学生たちと貴重な時間を過ごしたイタリアの学生たちは、翌日、ベンベルグ®の産地である富士吉田へと向かっていきました。イタリア帰国後は、それぞれの会社でインターンシップを開始するという5人。日本とイタリアの学生が共有したテキスタイルへの熱い想いと、新たに築いた親交が、今後どのように芽を出し葉を広げていくのか。両者の活躍が大いに楽しみとなった一日でした。

 

 

 

※1 ビエラマスター
イタリア ビエモンテ州のウール産地ビエラの大学のマスターコース。繊維産業の生産現場を中心に学ぶ過程が多い。約20人から5名の学生が選抜され、イタリア国内だけでなく世界の産地(オーストラリア、ニュージーランド、中国等)を訪問。旭化成の現地法人である旭化成繊維イタリアのほか、地元のゼニア、ロロ ビアーナ等もスポンサーに名を連ねる。

 

※2 産地の学校
株式会社糸編代表の宮浦氏が2017年に始めた、国内の繊維産業について体系的に学ぶ学校で、繊維産地の課題解決及び活性化に向けた活動を主体としている。旭化成はベンベルグ®ラボとして昨年から特別講義の支援を行っている。

 

※ベンベルグ=旭化成の登録商標で、素材名はキュプラ。

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